この記事の最終更新日: 2026年6月12日

自宅のネットワークで、次のような問題が起きたことはないでしょうか。
- ポート開放したのに外部からアクセスできない
- オンラインゲームでNATタイプが厳しい
- ボイスチャットが不安定
- WebRTCの通話がつながりにくい
- 自宅サーバーやNASに外部から接続できない
- ルーターを買い替えたら通信が不安定になった
このような通信トラブルの原因として、二重NATが関係していることがあります。
二重NATとは、簡単に言うと、
ルーターが2段階になっていて、NATも2回行われている状態
です。
この記事では、二重NATの確認方法、ルーターが2台あると何が起きるのか、どう対処すればよいのかを初心者向けにわかりやすく解説します。
- 二重NATとは?
- NATとは何かを簡単におさらい
- ルーターが2台あると何が起きるのか?
- 二重NATは普通のWeb閲覧では問題になりにくい
- 問題になるのは「外から内側へ通信したい」とき
- ポート開放しても届かないことがある
- 二重NATのよくある構成
- 二重NATの確認方法
- 確認方法1:ルーターのWAN側IPアドレスを見る
- 確認方法2:グローバルIPとWAN側IPを比較する
- 確認方法3:ルーターが物理的に2台あるか見る
- 確認方法4:ルーターの動作モードを見る
- 確認方法5:traceroute / tracertで見る
- 確認方法6:ゲーム機やアプリのNATタイプを見る
- 二重NATだと何が困るのか?
- 二重NATの対処法
- 対処法1:下位ルーターをAPモードにする
- 対処法2:ホームゲートウェイをブリッジモードにする
- 対処法3:上位ルーターと下位ルーターの両方でポート開放する
- 対処法4:DMZを使う
- 対処法5:VPNやクラウド経由を使う
- 二重NATとCGNATの違い
- 二重NATを解消するときの注意点
- よくある誤解
- まとめ
二重NATとは?
二重NATとは、ネットワーク内でNATが2回行われている状態です。
通常の家庭用ネットワークでは、ルーターが1台あり、そのルーターがNATを行います。
PC・スマホ
↓
家庭用ルーター(NAT)
↓
インターネット
一方、二重NATでは、ルーターやホームゲートウェイが2段階になっています。
PC・スマホ
↓
自分で設置したWi-Fiルーター(NAT)
↓
回線業者のホームゲートウェイ(NAT)
↓
インターネット
このように、NATを行う機器が2つあると、通信の変換が2回発生します。
NATとは何かを簡単におさらい
NATとは、IPアドレスを変換する仕組みです。
家庭内のPCやスマホには、通常、次のようなプライベートIPアドレスが割り当てられます。
PC:192.168.1.10
スマホ:192.168.1.11
ゲーム機:192.168.1.12
これらのIPアドレスは、家庭内では使えますが、インターネット上ではそのまま使えません。
そこでルーターが、家庭内のプライベートIPアドレスを外部向けのIPアドレスに変換します。
192.168.1.10
↓ NAT
203.0.113.10
この変換によって、家庭内の複数端末がインターネットに接続できます。
ルーターが2台あると何が起きるのか?
ルーターが2台あり、両方がルーターモードで動いている場合、次のような構成になります。
PC
↓
下位ルーター
↓
上位ルーター
↓
インターネット
このとき、通信は2回変換されます。
PC:192.168.1.10
↓
下位ルーターでNAT
↓
下位ルーターのWAN側IP:192.168.0.2
↓
上位ルーターでNAT
↓
グローバルIP:203.0.113.10
つまり、PCから見れば普通にインターネットにつながっていても、外部から見ると途中にNATの壁が2つある状態になります。
これが二重NATです。
二重NATは普通のWeb閲覧では問題になりにくい
二重NATだからといって、必ずインターネットが使えなくなるわけではありません。
次のような用途では、問題なく使えることが多いです。
- Webサイトを見る
- YouTubeを見る
- SNSを使う
- メールを送受信する
- クラウドストレージを使う
- 通常のスマホアプリを使う
これらは基本的に、家庭内の端末から外部サーバーへ通信を開始します。
PC・スマホ
↓
外部のWebサーバー
内側から外側へ出ていく通信なので、NATが2段階でも動くことが多いです。
問題になるのは「外から内側へ通信したい」とき
二重NATが問題になりやすいのは、外部から家庭内の端末へ通信したい場合です。
たとえば、次のようなケースです。
- 自宅サーバーを公開したい
- NASに外出先からアクセスしたい
- ゲームでホストになりたい
- リモートデスクトップしたい
- WebRTCやP2Pで直接通信したい
- ポート開放が必要なアプリを使いたい
通常のNATでも、外部から内部への通信は少し難しくなります。
二重NATでは、その難しさがさらに増えます。
外部の端末
↓
上位ルーターのNAT
↓
下位ルーターのNAT
↓
PC・サーバー
外部から通信を届けるには、2つのルーターを正しく通過する必要があります。
ポート開放しても届かないことがある
二重NATで特にハマりやすいのが、ポート開放です。
ポート開放とは、外部から来た特定ポートの通信を、内部の端末へ転送する設定です。
通常の構成なら、次のように設定します。
外部 8080
↓
PC 192.168.1.10:80
しかし二重NATでは、ルーターが2台あります。
インターネット
↓
上位ルーター
↓
下位ルーター
↓
PC
この場合、下位ルーターだけでポート開放しても、上位ルーターで通信が止まることがあります。
つまり、
下位ルーターの設定は合っている
でも、上位ルーターで止まっている
という状態が起きます。
これが、二重NATでポート開放が失敗しやすい理由です。
二重NATのよくある構成
二重NATは、次のような構成でよく起きます。
1. ホームゲートウェイ + 自前Wi-Fiルーター
もっともよくあるのが、回線業者から提供されたホームゲートウェイに、自分で買ったWi-Fiルーターをつないでいるケースです。
PC・スマホ
↓
自前Wi-Fiルーター
↓
回線業者のホームゲートウェイ
↓
インターネット
ホームゲートウェイにもルーター機能があり、自前Wi-Fiルーターもルーターモードになっていると、二重NATになります。
2. ONU一体型ルーター + Wi-Fiルーター
光回線では、ONUやホームゲートウェイにルーター機能が入っている場合があります。
そこに別のWi-Fiルーターを追加すると、二重NATになることがあります。
端末
↓
Wi-Fiルーター
↓
ONU一体型ルーター
↓
インターネット
3. マンション備え付けネットワーク + 自前ルーター
マンションや寮、社宅などでは、建物側でネットワーク管理されていることがあります。
その下に自分のWi-Fiルーターを置くと、二重NATになることがあります。
端末
↓
自分のWi-Fiルーター
↓
建物側のルーター
↓
インターネット
4. モバイルルーター + Wi-Fiルーター
モバイルルーターの下に、さらにWi-Fiルーターを接続する場合も二重NATになることがあります。
また、モバイル回線では通信事業者側でCGNATが使われていることもあります。
その場合、ユーザー側では制御できないNATがさらに外側に存在する可能性があります。
二重NATの確認方法
ここからは、二重NATかどうかを確認する方法を紹介します。
確認方法1:ルーターのWAN側IPアドレスを見る
最も基本的な確認方法は、ルーターの管理画面でWAN側IPアドレスを確認することです。
WAN側IPアドレスとは、ルーターが外側のネットワークから受け取っているIPアドレスです。
このWAN側IPアドレスがプライベートIPアドレスになっている場合、上位に別のNATがある可能性があります。
代表的なプライベートIPアドレスの範囲は次のとおりです。
10.0.0.0 ~ 10.255.255.255
172.16.0.0 ~ 172.31.255.255
192.168.0.0 ~ 192.168.255.255
たとえば、自分のWi-FiルーターのWAN側IPが次のようになっていたとします。
192.168.0.2
この場合、自分のWi-Fiルーターの上に、さらに別のルーターがある可能性が高いです。
つまり、二重NATの可能性があります。
確認方法2:グローバルIPとWAN側IPを比較する
次に、外部サイトなどで表示されるグローバルIPアドレスと、ルーターのWAN側IPアドレスを比較します。
たとえば、外部サイトで見えるIPアドレスが次のようだったとします。
203.0.113.10
しかし、ルーター管理画面のWAN側IPが次のようになっている場合、
192.168.0.2
ルーターが直接グローバルIPを持っていないことになります。
この場合、上位に別のルーターやNATがある可能性があります。
外部から見えるIP:203.0.113.10
自分のルーターのWAN側IP:192.168.0.2
このズレは、二重NATやCGNATを疑う材料になります。
確認方法3:ルーターが物理的に2台あるか見る
単純ですが、物理構成を確認するのも重要です。
次のような機器が複数ありませんか。
- ホームゲートウェイ
- ONU一体型ルーター
- Wi-Fiルーター
- メッシュWi-Fi親機
- モバイルルーター
- マンション備え付けルーター
たとえば、次のような配線になっている場合は注意が必要です。
壁の回線
↓
ホームゲートウェイ
↓
Wi-Fiルーター
↓
PC・スマホ
このとき、ホームゲートウェイとWi-Fiルーターの両方がルーターモードなら、二重NATになっている可能性があります。
確認方法4:ルーターの動作モードを見る
Wi-Fiルーターには、次のような動作モードがあります。
| モード | 説明 |
|---|---|
| ルーターモード | NATやDHCPを行う |
| APモード | アクセスポイントとして動作する |
| ブリッジモード | ルーター機能を使わず中継する |
| 中継機モード | Wi-Fiの範囲を広げる |
二重NATになりやすいのは、複数の機器がルーターモードになっている場合です。
ホームゲートウェイ:ルーターモード
Wi-Fiルーター:ルーターモード
一方、次のような構成なら、二重NATを避けられることがあります。
ホームゲートウェイ:ルーターモード
Wi-Fiルーター:APモード
または、
ホームゲートウェイ:ブリッジモード
Wi-Fiルーター:ルーターモード
重要なのは、NATを行う機器を基本的に1つにすることです。
確認方法5:traceroute / tracertで見る
少し技術的ですが、traceroute や tracert を使う方法もあります。
Windowsでは次のコマンドを使います。
tracert 8.8.8.8
macOSやLinuxでは次のコマンドを使います。
traceroute 8.8.8.8
実行結果の最初の数行に、プライベートIPアドレスが複数出てくる場合があります。
例:
1 192.168.1.1
2 192.168.0.1
3 203.0.113.1
このように、最初に 192.168.x.x が複数段出てくる場合、二重NATやそれに近い構成の可能性があります。
ただし、tracerouteだけで完全に判断できるわけではありません。
ルーターによっては応答しないこともあるため、WAN側IPの確認とあわせて見るのがおすすめです。
確認方法6:ゲーム機やアプリのNATタイプを見る
オンラインゲーム機や一部のアプリでは、NATタイプを表示してくれることがあります。
たとえば、次のような表示です。
NATタイプ:オープン
NATタイプ:モデレート
NATタイプ:ストリクト
二重NATの場合、NATタイプが厳しく表示されることがあります。
ただし、NATタイプはゲームやサービスごとの判定なので、これだけで二重NATと断定はできません。
あくまで、通信しにくい状態を示すヒントとして見るのがよいです。
二重NATだと何が困るのか?
二重NATで問題になりやすいのは、次のような通信です。
ポート開放
二重NATでは、ポート開放の設定が複雑になります。
下位ルーターだけ設定しても、上位ルーターで止まることがあります。
上位ルーター:外部からの通信を下位ルーターへ転送
下位ルーター:通信をPCへ転送
このように2段階で転送する必要がある場合があります。
オンラインゲーム
オンラインゲームでは、P2P通信やボイスチャット、マッチングに影響することがあります。
二重NATだと、次のような問題が起こる場合があります。
- マッチングしにくい
- フレンドと接続できない
- ボイスチャットが不安定
- ホストになれない
- NATタイプがストリクトになる
WebRTC
WebRTCでは、ブラウザ同士が直接通信しようとします。
二重NATでは直接通信が難しくなり、TURNサーバー経由になったり、接続に失敗したりすることがあります。
ブラウザA
↓
NAT
↓
NAT
↓
インターネット
↓
ブラウザB
NATの段数が増えるほど、直接通信は複雑になります。
自宅サーバー公開
自宅サーバーやNASを外部公開したい場合、二重NATは大きな障害になります。
たとえば、MinecraftサーバーやWebサーバーを公開したい場合です。
外部ユーザー
↓
上位ルーター
↓
下位ルーター
↓
自宅サーバー
この経路全体で通信を通す必要があります。
二重NATの対処法
二重NATを解消するには、いくつかの方法があります。
対処法1:下位ルーターをAPモードにする
家庭で最も簡単なのは、自分で買ったWi-FiルーターをAPモードにする方法です。
PC・スマホ
↓
Wi-Fiルーター(APモード)
↓
ホームゲートウェイ(NAT)
↓
インターネット
APモードにすると、Wi-Fiルーターは主に無線アクセスポイントとして動作します。
NATやDHCPは上位のホームゲートウェイに任せます。
これにより、NATが1段になり、二重NATを避けやすくなります。
対処法2:ホームゲートウェイをブリッジモードにする
逆に、自分のWi-Fiルーターをメインルーターとして使いたい場合は、ホームゲートウェイ側をブリッジモードにする方法があります。
PC・スマホ
↓
Wi-Fiルーター(NAT)
↓
ホームゲートウェイ(ブリッジ)
↓
インターネット
この場合、NATは自前ルーター側だけになります。
ただし、回線業者の機器によっては、ブリッジモードにできない場合があります。
また、ひかり電話やIPv6接続などに影響することもあるため、設定変更には注意が必要です。
対処法3:上位ルーターと下位ルーターの両方でポート開放する
二重NATを解消できない場合、両方のルーターでポート開放する方法もあります。
上位ルーター:
外部 8080 → 下位ルーターのWAN側IP:8080
下位ルーター:
8080 → PC 192.168.1.10:80
この方法でも通信できる場合があります。
ただし、設定が複雑になるため、初心者にはやや難しいです。
また、IPアドレス固定やファイアウォール設定も関係します。
対処法4:DMZを使う
上位ルーターにDMZ設定がある場合、下位ルーターをDMZ先に指定する方法もあります。
上位ルーターのDMZ先:下位ルーターのWAN側IP
これにより、上位ルーターに届いた通信を下位ルーターへ流しやすくなります。
ただし、DMZは外部からの通信を広く通す設定になるため、セキュリティリスクがあります。
よく理解しないまま使うのはおすすめしません。
対処法5:VPNやクラウド経由を使う
外部から自宅内の機器へアクセスしたい場合、ポート開放ではなくVPNやクラウド経由の仕組みを使う方法もあります。
たとえば、次のような用途ではVPNが向いていることがあります。
- NASへのアクセス
- 自宅PCへのリモートアクセス
- 管理画面へのアクセス
- 家庭内ネットワークへの安全な接続
直接ポートを開けるより、安全に構成しやすい場合があります。
二重NATとCGNATの違い
二重NATと混同されやすいものに、CGNATがあります。
CGNATとは、通信事業者側で行われるNATです。
自宅端末
↓
自宅ルーター
↓
通信事業者側NAT
↓
インターネット
二重NATは、自宅内や建物内でルーターが2段階になっている状態を指すことが多いです。
一方、CGNATはプロバイダや携帯キャリア側でNATが行われている状態です。
| 項目 | 二重NAT | CGNAT |
|---|---|---|
| NATの場所 | 自宅内・建物内 | 通信事業者側 |
| ユーザーが設定変更できるか | できる場合が多い | 基本的に難しい |
| ポート開放 | 設定次第で可能な場合あり | 難しいことが多い |
| 例 | ホームゲートウェイ + Wi-Fiルーター | モバイル回線、一部固定回線 |
自宅内の二重NATなら、APモードやブリッジモードで改善できる可能性があります。
CGNATの場合は、プロバイダ側の仕様なので、グローバルIPオプションや固定IPサービスが必要になることがあります。
二重NATを解消するときの注意点
二重NATを解消しようとして設定を変える場合、次の点に注意してください。
- どの機器がルーター役なのか確認する
- プロバイダ接続情報がどの機器に入っているか確認する
- ひかり電話やIPv6接続に影響しないか確認する
- 設定変更前に現在の設定をメモしておく
- APモードにした後の管理画面アクセス方法を確認しておく
- DHCPサーバーが複数動いていないか確認する
- 不要なポート開放やDMZを設定しない
特に、回線業者のホームゲートウェイは電話やIPv6関連の機能を持っている場合があります。
不安な場合は、回線業者やルーターメーカーの説明書を確認しながら進めるのが安全です。
よくある誤解
ルーターが2台あると必ず二重NATになる
ルーターが2台あっても、片方がAPモードやブリッジモードなら、二重NATにならないことがあります。
重要なのは、ルーターが2台あるかではなく、NATしている機器が2つあるかです。
二重NATだと必ずインターネットが使えない
二重NATでも、Web閲覧や動画視聴は普通にできることが多いです。
問題になりやすいのは、外部から内部へ通信したい場合です。
自分のルーターだけポート開放すればよい
二重NATでは、下位ルーターだけポート開放しても、上位ルーターで止まることがあります。
経路全体を見て、どこでNATされているか確認する必要があります。
二重NATとCGNATは同じ
似ていますが、同じではありません。
二重NATは自宅内のルーター構成で起きることが多く、CGNATは通信事業者側で起きます。
まとめ
二重NATとは、
NATを行うルーターが2段階になっている状態
です。
代表的には、次のような構成で発生します。
PC・スマホ
↓
自前Wi-Fiルーター(NAT)
↓
回線業者のホームゲートウェイ(NAT)
↓
インターネット
普通にWebサイトを見るだけなら問題にならないことも多いですが、次のような用途ではトラブルの原因になります。
- ポート開放
- 自宅サーバー公開
- オンラインゲーム
- WebRTC
- P2P通信
- ボイスチャット
- NASへの外部アクセス
- リモートデスクトップ
確認するときは、まずルーターのWAN側IPアドレスを見ます。
WAN側IPが 192.168.x.x や 10.x.x.x なら、上位にNATがある可能性あり
対処法としては、片方のルーターをAPモードやブリッジモードにして、NATを1段にするのが基本です。
初心者のうちは、次のように覚えておくとよいでしょう。
二重NATとは、ルーターが2段階でNATしている状態。Web閲覧では問題になりにくいが、ポート開放やP2P通信ではトラブルの原因になりやすい。
二重NATを理解しておくと、ルーター設定、ポート開放、オンラインゲーム、WebRTC、自宅サーバーのトラブルをかなり整理しやすくなります。

大阪のエンジニアが書いているブログ。



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