Google CloudとAWSの共通点と2025年時点で際立つ3つの違いを徹底比較

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この記事の最終更新日: 2025年5月18日

はじめに

2025年5月現在、クラウド市場を牽引する Amazon Web Services (AWS)Google Cloud Platform (GCP) は、それぞれ世界規模でデータセンター網を拡張し、生成AIやデータ分析向けの新サービスを次々と投入しています。直近では AWS が 36 リージョン/114 AZ (アベイラビリティゾーン)、GCP が 42 リージョン/127 ゾーン に到達し、両社とも新たなリージョンを積極的に展開しています。この記事では 共通点 を押さえつつ、ネットワーク設計・データ&AIエコシステム・料金モデルという3つの観点から違いをわかりやすく解説します。

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Google Cloud と AWS の共通点(2025 年版)

クラウド選定時に欠かせない基本要素は、AWSとGCPどちらも共通しています。

観点共通する特徴実務でのメリット
グローバル規模のインフラ• AWS: 36 リージョン/114 AZ (地理的に離れたデータセンターの集合) • GCP: 42 リージョン/127 ゾーン世界中にデータを分散させ、障害時のリスク分散や低遅延の実現が可能です。
豊富なマネージドサービスコンテナ(EKS/GKE)、サーバーレス(Lambda/Cloud Functions)、データベース、AI など環境構築や運用負荷が大幅に軽減され、すぐに開発に集中できます。
IaC & DevOps エコシステムTerraform、Pulumi などのインフラ自動化ツールやCI/CDが公式にサポート開発・デプロイの効率化と再現性の高い環境構築が実現できます。
セキュリティとコンプライアンスIAM(アクセス管理)、KMS(鍵管理)、暗号化などのセキュリティ機能高いセキュリティとガバナンスを維持しつつ、業界基準に準拠できます。
生成 AI 基盤の急速な進化• AWS: Bedrock、Amazon Q • GCP: Vertex AI、Gemini 2.5最新のAI・LLM(大規模言語モデル)を組み込んだアプリケーション開発が容易です。

ポイント: 両社とも、PoC(実証実験)から大規模商用環境まで対応可能な堅牢なクラウド環境を提供しています。


大きな違い 1: ネットワーク設計とリージョン構造

クラウドでは「どこにデータが置かれ、どのように通信されるか」が重要です。

比較項目AWSGoogle Cloud
VPC の範囲リージョン単位。リージョン間通信には別途設定が必要グローバル VPC により、1つのネットワークで世界中のリージョンと通信可能
バックボーン高速な専用線。リージョン・AZ 単位で分けて設計Googleの大規模な専用ネットワーク(2025年時点で200万マイル以上)を活用し、グローバルに高速通信可能
リージョンの最新状況2025年時点で 36 リージョン2025年時点で 42 リージョン、さらに拡大中
設計メリットAZ単位で完全に分離され、障害に強い設計が可能マルチリージョンをシンプルに統合し、より簡潔なネットワーク設計が可能

選定ヒント: 世界規模の展開を想定したシンプル設計にはGCP、きめ細かい可用性制御が必要ならAWSがおすすめです。


大きな違い 2: データ分析 & 生成 AI エコシステム

データ活用とAIは近年のクラウド競争の中心です。

AWS (Bedrock & Amazon Q)

  • Amazon Bedrock Flows:様々なAIモデルやワークフローをノーコードで接続可能なサービス。
  • Amazon Q:開発支援AI(コード生成・ドキュメント検索など)と業務支援AI(BIツール連携など)を統合。
  • Graviton4搭載インスタンス:コストと性能を両立する次世代CPUを採用。
  • Redshift Serverless / Athena:高度な分析が可能なデータウェアハウスとクエリエンジンを柔軟に利用可能。

Google Cloud (Gemini & Vertex AI)

  • Vertex AI + Gemini 2.5:統合プラットフォームでノーコードから大規模モデルまで幅広くサポート。
  • Ironwood TPU v7:専用チップによるAI学習・推論の高速化とコスト削減。
  • BigQuery + BigLake:DWHとデータレイクをサーバーレスで統合し、リアルタイム分析に最適。
  • Cloud WAN:Googleのグローバルネットワークを活用し、低遅延のグローバルサービス展開が可能。

選定ヒント: AI/データ分析を迅速に始めるならGCP、選択肢の多さと自由度を求めるならAWSが適しています。


大きな違い 3: 料金モデルと割引プログラム

クラウドコスト管理は重要なテーマです。

比較項目AWSGoogle Cloud
課金単位秒単位秒単位
長期割引Savings Plans:1〜3年契約で最大72%割引Committed Use Discount:複数サービスを対象に最大55%割引
自動割引なし(契約ベースの割引のみ)Sustained Use Discount:月の利用率に応じた自動割引あり(最大30%)
無料枠12か月限定 + 一部サービス無料枠$300相当の無料クレジット + 常時無料枠
コスト管理ツールAWS Cost Explorer や Budgets などBigQuery連携のBilling ExportやCloud Billing Reportsなど

選定ヒント: 利用頻度が読みにくい場合は自動割引のあるGCP、長期利用が前提ならAWSの契約型割引が効果的です。


まとめ & 次のステップ

  1. 共通点: セキュリティ、可用性、AI機能など基本はほぼ同等。
  2. 主な違い:
    • ネットワーク設計: 単一グローバルVPCのGCP vs AZ指向のAWS
    • AI/分析: フルマネージド志向のGCP vs 自由度の高いAWS
    • 料金: 自動割引中心のGCP vs 契約割引中心のAWS
  3. 選定ポイント:
    • PoCや短期導入→無料枠と簡単設計が魅力のGCP
    • 柔軟で大規模な設計やカスタマイズ→AWS

最終指針: 今後は単独利用ではなく、クラウドごとの強みを活かした「マルチクラウド」の考え方が鍵になります。


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