この記事の最終更新日: 2025年5月16日
Linuxサーバーを運用する上で欠かせないのが「ファイアウォール設定」です。
今回は代表的な2つのファイアウォール管理ツール「firewalld」と「UFW(Uncomplicated Firewall)」の違いや使い方を、初心者向けにわかりやすく解説します。

ファイアウォールとは?
ファイアウォールとは、ネットワーク通信の「通していい通信」と「遮断する通信」を制御するシステムです。
例えば、外部からSSH接続だけを許可し、他の通信はブロックすることで、サーバーを不正アクセスから守ることができます。
Linuxでは、内部で iptables
や nftables
という低レベルのツールが通信制御を担っていますが、それらは複雑な構文が必要です。
そこで、より簡単に扱えるように設計されたツールが firewalld
や ufw
です。
firewalldとは?
特徴
- Red Hat系のディストリビューション(CentOS、AlmaLinux、Rocky Linuxなど)で標準的に採用
- 通信の制御に
iptables
またはnftables
をバックエンドとして使用 - ゾーン(zone) と呼ばれる概念を用いて、ネットワークごとに異なるセキュリティポリシーを設定可能
- サービスやポートの許可・拒否を、システムを再起動せずにリアルタイムで変更できる
ゾーンとは?
ゾーンとは、ネットワークの信頼レベルに応じた設定の集合です。 例えば「public(一般公開)」「internal(社内用)」「trusted(信頼済み)」などのゾーンがあり、それぞれにポート開放のルールを設定できます。
主な操作例
# firewalldを起動・有効化
sudo systemctl start firewalld
sudo systemctl enable firewalld
# 現在有効なゾーンを確認
sudo firewall-cmd --get-active-zones
# publicゾーンに80番ポートを恒久的に追加
sudo firewall-cmd --zone=public --add-port=80/tcp --permanent
# 設定を反映
sudo firewall-cmd --reload
UFWとは?
特徴
- UbuntuやDebianなど、Deb系ディストリビューションで利用されるシンプルなファイアウォールツール
- 名前の通り “Uncomplicated”(ややこしくない)ファイアウォール
iptables
のルールを簡単なコマンドで操作可能- 初心者でも直感的に扱いやすい
UFWの設計思想
UFWは「簡単さ」を最優先しています。 デフォルトで、すべての外部からの通信を拒否し、自分で許可したポートのみを開放するという方針です。
主な操作例
# UFWを有効化
sudo ufw enable
# ファイアウォールの状態確認
sudo ufw status verbose
# 22番ポート(SSH)を許可
sudo ufw allow 22/tcp
# 特定IPアドレスからのみSSHを許可
sudo ufw allow from 192.168.1.100 to any port 22
# ファイアウォールを無効化
sudo ufw disable
firewalldとUFWの違いを比較
比較項目 | firewalld | UFW(Uncomplicated Firewall) |
---|---|---|
対象ディストリ | RHEL系(CentOS、AlmaLinuxなど) | Ubuntu系(Ubuntu、Debianなど) |
管理方式 | ゾーンベース(ネットワークごとに設定) | ルールベース(ポートごとに個別設定) |
動作 | ダイナミック(即時反映) | 静的(設定変更後に反映が必要) |
初心者の扱いやすさ | やや中級者向け(柔軟性が高い) | 初心者におすすめ(簡単で直感的) |
バックエンド | nftables または iptables | iptables |
どちらを使うべき?
UbuntuやDebianなどのDeb系ディストリを使っているなら → 「UFW」がおすすめ
シンプルで直感的なコマンド設計のため、サーバー初心者でも迷わず設定できます。
CentOSやAlmaLinuxなどのRHEL系ディストリなら → 「firewalld」がおすすめ
ゾーンベースの制御により、ネットワークの信頼度に応じた高度な構成が可能です。商用利用や本番環境にも適しています。
セキュリティを守る第一歩
ファイアウォールはLinuxサーバーの防御力を高める「盾」のような存在です。
インターネットに公開する以上、ファイアウォールを正しく設定することは、サーバー運用者の最低限の責任とも言えます。
最初は最低限の設定から始めて、慣れてきたらより細かいルール設定に挑戦してみましょう。
まとめ
firewalld
はゾーンベースの柔軟な制御が可能で、中〜上級者向けufw
は操作がシンプルで初心者にも扱いやすい- 自分の使っているLinuxディストリビューションに応じて選択するのがベスト

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